2013年6月11日(火) 2014FIFAワールドカップブラジル大会アジア最終予選第8節(最終節) イラク代表 vs 日本代表 の解説です。
どんな試合だったのでしょうか?
アウェー中東での試合で35度近い暑さ、風、いろいろ難しい試合になりましたが、無事1-0というしっかりとした結果を残してくれました。
結果は出ましたが試合内容はどうだったのでしょうか?
キックオフは日本時間23:30でした。
会場はカタールのドーハの「アルアラビスタジアム」で行われました。
対戦国は「イラク代表」なのになぜカタールでの試合開催なのかというと、イラク国内の政情が不安定な為、安全を確保出来ないのでFIFA(国際サッカー連盟)がイラク国内で国際大会の試合を行うことを認めていないためです。
そんな国でプレーする選手がワールドカップを目指して戦うことも大変な苦難ですよね。」
注目のスターティングメンバーは、
GK 川島永嗣
DF 酒井宏樹 伊野波雅彦 今野泰幸 長友佑都
MF 遠藤保仁 細貝萌
FW 岡崎慎司 香川真司 清武弘嗣
ハーフナーマイク
気温は33.5度と高温の中での試合。
ワールドカップを決めたオーストラリア戦から5人、スターティングメンバーを入れ替えました。
イラク戦で先発のチャンスを新たに得たのは、酒井宏樹、伊野波雅彦、細貝萌、清武弘嗣、ハーフナーマイクの5人です。
キャプテンである長谷部誠選手(VfLヴォルフスブルグ、ドイツ・ブンデスリーガ)が前節のオーストラリア戦でしなければいけないファールでイエローカードをもらってしまい、累積でイラク戦は出場停止でした。その長谷部選手のポジションに「細貝萌選手(ヘルタ・ベルリン、ドイツ・ブンデスリーガ)」が順当に入りました。
酒井宏樹選手(ハノーファー96、ドイツ・ブンデスリーガ)が内田篤人選手(FCシャルケ04、ドイツ・ブンデスリーガ)のポジションに、
伊野波雅彦選手(ジュビロ磐田)が吉田麻也選手(サウサンプトン、イングランド・プレミアリーグ)のポジションに、
清武弘嗣選手(1.FCニュルンベルグ、ドイツ・ブンデスリーガ)が本田圭佑選手(CSKAモスクワ、ロシア・プレミアリーグ)のポジションに、
ハーフナーマイク選手(SBVフィテッセ、オランダ・エールディヴィジ)が前田遼一選手(ジュビロ磐田)のポジションにそれぞれオーストラリア戦と変わってスタメンに入りました。
移動などをふまえると実質中3日でむかえるコンフェデのブラジル戦を考えたらもう少しメンバーをオーストラリア戦から変えて臨むのかなと思いましたが、香川選手や遠藤選手、今野選手と核になる選手は残してしっかり試合を作れるようにザッケローニ監督はメンバーを選んできましたね。
個人的にはアジア最終予選の試合とはいえ、GKは西川選手にチャンスというか出場機会を与えてもよかったのではなかと思います。
試合は日本代表が風下の陣地でキックオフとなりました。
イラクはこの試合で勝たなければワールドカップ出場の可能性が消滅する試合。
立ち上がりから点を取りに来ていました。
前半1~2分から日本の左サイドを崩し、クロスからチャンスを作られていました。
しかしイラクのクロスの精度の低さに助けられ、凌ぐことが出来ました。
前半9~10分にこの試合の最大のピンチの一つが起きました。
センターサークル付近で細貝選手がボールの出し場がなくなり、奪われて2対2の状況を作られてしまいましたが、
伊野波選手がギリギリで足を出してボールをひっかけ奪い、事なきを得ましたが強豪相手なら確実に失点していた場面でした。
細貝選手の判断ミスと、ボールを確実に受けれる場所にポジションを取れなかった周りの選手のミスでした。
前半13分にはコーナーキックから 今野選手のめずらしいヒールパスから遠藤選手のロングシュートと、普段から一緒にガンバ大阪でプレーする二人のコンビネーションがみられました。
ザッケローニ監督はブルガリア戦後にも言っていた『ボールを無意味に後ろに下げるな』という指示をこの試合中も前半から言っていました。
前半18分にはまたまたピンチが訪れます。
長友がピッチど真ん中で大きくクリアしたボールが強風によって戻り飛距離が出ず、
相手のヘディングでのクリアが日本の最終ラインにまで届き、相手FWにすらされてしまい、
裏に抜けだされたもう一人のFWにGK川島選手との1対1の場面を作れかけたのですが、
後ろから長友選手が追いつき、少し腕で競り合ったところ、相手選手が倒れあわやPKか!?
というシーンでしたが、審判の判定はノーファール。
この試合の主審はウズベキスタンの方でしたが、いわゆる『中東の笛』というものがこの試合は観られなかったので嬉しかったですね。
長友選手も後ろからあたりに行かずに、横に並ぶまで我慢して競り合いにいった対応がさすがインテルでプレーする選手というプレーでした。
前半25分にはこの試合では数少ないチャンスが訪れました。
トップ下に入った10番香川選手と左サイドの8番清武選手が二人のパス交換と香川選手は外へ、清武選手は中に入る動きでPA内まで侵入し、清武選手のシュートまでもっていきます。
が、シュートは相手DFにひっかかり、GKの逆をとるもスピードが遅くGKに止められてしまいます。
前半31分、前半最大のチャンスが訪れます。
清武選手から長友選手へサイド深くまで行けるパス→清武選手に戻す→清武選手アーリークロス→ハーフナーマイク選手がヘディングシュート→ぎりぎり外れる。
ハーフナー選手のヘディングは外れるイメージが付いてしまているのは私だけでしょうか?苦笑
前半35分、左サイドでの遠藤選手のFKのこぼれ玉を、細貝選手が右サイドからクロス、中にいた今野選手がトラップしてから素早いシュート!しかしぎりぎり上に外れてしまいました。。。
前半35分、『給水タイム』。
なんとこの試合は給水タイムが設けられるほど暑かったんです。
FIFAの規則により試合開始時刻が31度を超えていた場合前後半に給水タイムを設けるようです。
なかなか代表の試合で給水タイムを観れることはないですよね。
給水タイムにザッケローニ監督やベンチの選手がどういうことを話しているかも見どころでしたね!
後半45分に最後の大きなピンチがあります。
岡崎選手のこの時間帯での不用意なドリブルからボールを奪われ攻め込まれ、一本のロングパスでサイド深くまで破られ、二度PA内の近距離でフリーでシュートを打たれてしまいます。
が、なんとか今野選手と伊野波選手が身体を張って守り抜きます。
前半はお互いに決め切れず、0-0で折り返すことになります。
前半を総括すると、日本代表の攻撃はカウンター気味の時と、サイドから崩すときは上手くパスを繋げるが、ハーフナー選手のところで上手く収まらないことが多く、ボールロストが全体的に多かったのが残念でした。
少ないチャンスをものに出来ないのも今後の不安材料です。
まあ今に始まったことではありませんが。
守備の面ではFWの動きとしては定番のロングボールをFW一人が競ってヘディングで後ろに流し、もう一人が裏に抜けるというもので、なんどかピンチを迎えてたのは問題ですね。
他にもカウンター気味でピンチを迎えることが多かったのは、不用意な中盤でのパスミスが多かったのが原因です。
しっかり前線で収めてくれる選手がいないのも原因ですが。
強豪国はカウンターで決める力があるので、ボールを失う位置は改善しないとコンフェデ杯ではやられます。
後半です。メンバー交代はなしでした。
本田圭佑選手はソックスも履いていなかったのでベンチには入っていましたが、出場しないことは決まっていたようですね。
後半は風上に立った日本。攻め込んで欲しいところです。
後半0~1分、相手のロングボールから伊野波選手がファールを取られ直接FK。
立ち上がりは不用意なファールは取られたくありません。
シュートも際どい良いシュートでしたが右に外れ、GK川島選手が上手く外れているのをジャッジし、最後の最後で手を引きゴールキックにしてマイボールにしようとしましたが、主審はそれを見極められずCK。
事なきを得ましたが、立ち上がりはミスが起こりやすいので簡単なプレーで危険を避けたいですね。
後半7分、これまたカウンター気味にボールを運ばれエリア外からシュートを打たれるもGK川島選手がこぼさず上手くキャッチ。
この試合を通じて安易に弾かず、キャッチにいってた川島選手のプレーは安定いてました。
後半18分にもゴール正面の一番良い位置でFKを取られるも相手選手が滑り事なきを得ます。
後半21分、清武選手に代わって中村選手が入ります。
この交代は守備の面でのテコ入れでしょう。これがのちのち生きてきます。
後半23分最大のピンチが起きてしまいます。
PA右すぐ脇でボールを奪った酒井選手が不用意な判断のパスで奪われPA内でシュートを打たれますが上に外してくれて助かります。
点を取らなければワールドカップ出場の望みが断たれるイラクは攻め込みます。
後半24分、ハーフナーマイク選手に代わって前田遼一選手が投入されます。
前田選手はイエローカードが累積1枚溜まっている状態で、もう一枚もらうと、なんと次の公式戦「ワールドカップ本大会」の第一戦に出場出来なくなるという状態だったんです。
ザッケローニ監督からは「絶対にカードは貰うな」と言われてピッチに送られたことでしょう。
後半25分、2度目の給水タイムです。
バスケットボールのようにタイムがないサッカー。
試合中に有効な指示を与えることは難しいのですが、給水タイムがあると、ちゃんと指示を与えられるのでいいですね。
後半31分、中盤で細貝選手が奪われ、4対4の数的同数でのショートカウンターをくらい、PA内から鋭いクロスを入れられますが、なんとか今野選手が相手FWの前でクリアします。
イラク代表の副キャプテンであるGKのなんとか勝ちたいという振る舞いが胸を打ちました。
後半36分、FWアブドゥルザハラ選手が二枚目のイエローカードで退場になります。
点を取らなければいけないイラク代表は攻めます。
しかしシュートまで行けても上手くフィットしなかったり・・・
なんかイラク代表は気持ちの面でバラバラだったような気がします。
全員がワールドカップに出たいでしょうが、それ以外のことでもいろいろ問題有りそうですよね。
後半43分、とうとう最後の最後に歓喜の瞬間が訪れます。
相手のミスからボールを奪った岡崎選手。
岡崎選手がセンターサークル付近からボールを運び、
2対2の状況でしたが、ここぞとばかりの遠藤選手のダッシュが出ました!
オシムに鍛え上げられた『走る場所とタイミング』が体現されました。
遠藤選手が駆け上がり、3対2の状況を作り、PA内でシュートを打つと見せかけ相手DFをひきつけ、ぎりぎりで、岡崎選手に決めて下さいというラストパス。それを無事岡崎選手が合わせゴール!!!
1-0
オーストラリア戦に続き、終盤になんとか得点を取れました。
ロスタイムは4分ありましたが、高橋選手を投入し時間を使い、無事守り切り、勝利です。
1-0での勝利は十分な結果でしょう。
ザッケローニ監督が会見で話していた『勝ち癖を付けなければいけない』ということを目指した、本当に勝ちにいく試合でしたね。
消化試合などではなく良い試合だったと思います。
ワールドカップを決める劇的なPKを本田圭佑選手が決めた前試合があったので、物足りなく感じるサポーターも多いでしょうが、条件を考えたらいい試合だったと評価出来ると思います。
試合終了後にベンチで出場機会がなかった選手や出場時間が短い選手がコンディション調整の為のトレーニングが放送されていましたね。
なかなかテレビで放送されることはない場面ですが、あのように選手は本当にやれることは全てやって、全てをかけて試合に取り組んでいます。
脚光に当たる試合だけ頑張ってる訳ではなく、厳しいトレーニングや節制の毎日を過ごしてこその試合でのプレーであることを、応援する我々は忘れてはいけませんね。
コンフェデレーションズカップでの躍進、『優勝』を期待し応援しましょう!
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